できものについて

できもののイメージ写真

皮膚に生じた「できもの」のことを総称して皮膚腫瘍と言います。
腫瘍は、大きくは良性と悪性の2種類に分けられ、良性腫瘍は一般に増殖が緩やかで生命をおびやかすようなことはありません。
一方の悪性腫瘍(がん)は比較的増殖が早く、場合によっては遠隔転移もきたし、生命に影響することもあります。
ほくろやしみなどと紛らわしい皮膚がんもありますので、皮膚に気になる変化が生じましたら、早めにご相談ください。

ほくろ

ほくろは、正式には色素性母斑と言い、特に足の裏にできたほくろは悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が重要と言われています。
大きさが大きい(もしくは急激に大きくなってきた)、境界がはっきりしない、周囲に染み出しがみられる、盛り上がりがあるなどの所見があれば早めの受診が推奨されます。
診断はダーモスコピーという特殊な虫眼鏡のような器具を使って行います。

粉瘤(ふんりゅう)

皮膚の下に袋状のものができ、中にアカや皮脂が溜まることでしこりとして触れるようになります。
顔、首、背中などにできやすく、典型的には中央に黒い小さな点があります。
感染をすることも多く、そのときは中に膿がたまったり、赤く腫れて痛みがでたりします。

治療は基本的に手術で摘出するか、そのまま様子をみるかのどちらかになります。
ただし、感染しているときは手術での摘出は難しく、一部切開して膿を出す処置を行い、感染が落ち着いた段階で摘出をすることが多いです。

石灰化上皮腫

比較的小児に多い良性腫瘍で1〜2cm程度までの硬いしこりとして触れます。中には表面に水ぶくれを作るものもあります。

治療は基本的に手術での摘出になりますが、まれに自然に消えることもあります。

脂漏性角化症

加齢(皮膚の老化)とともに増える良性腫瘍で、老人性疣贅とも言われます。
20〜30歳代頃から出現し、80歳以上ではほぼ全員に体のどこかにはみられると言われています。
大きさは2cm程度までのものが多く、単発のものから多発するものまで様々です。
色調もうす茶色のものから黒いものまでバリエーションに富んでいますが、黒っぽいものが多いため、皮膚がんを心配されて受診される方が多いのも特徴です。また、痒みを伴うこともしばしばあります。
診断は見た目とダーモスコピーという特殊な虫眼鏡のような器具を使って行います。

治療は基本的にそのまま何もせずに様子をみる、液体窒素療法(冷凍凝固処置)を行う、手術で切除するという方法から選んでいただくことになります。
また、痒みがある場合は適宜外用剤を使用します。

脂肪腫

皮下の脂肪組織から発生する腫瘍で全身どこにでも発生しえます。
通常皮下に存在するため、数cmほどの大きさにならないと気づかないことが多いです。
比較的なだらかに盛り上がった柔らかい腫瘤として触れます。
診断は見た目と触った感じで行いますが、心配な方は超音波検査やMRI検査などが行える基幹病院へご紹介することもできます。

治療はそのまま様子をみるか手術で摘出するかという方法から選んでいただくことになりますが、手術を希望される場合は基幹病院や大学病院などへご紹介いたします。

皮膚がん

皮膚がんといえば一般的には悪性黒色腫(メラノーマ)が有名ですが、実際は悪性黒色腫の頻度はかなり低く、基底細胞癌、有棘細胞癌、ボーエン病といった他の皮膚がんの方が頻度は高くなります。
塗り薬などの治療を行ったが全然よくならない、できものがどんどん盛り上がってきた、傷がなかなか治らないなどの症状があれば早めの受診が推奨されます。
診断は腫瘍の種類によってはダーモスコピーという特殊な虫眼鏡のような器具が非常に有効ですが、最終的には腫瘍の一部または全部をとって顕微鏡の検査(病理検査)に提出することで確定します。

皮膚がんの基本的な治療は十分なマージンを確保して切除することになりますので、皮膚がんが疑われる、または皮膚がんの診断がついた場合は基幹病院や大学病院などへご紹介いたします。